2023年3月19日
まひる野の東京歌会(13:00―16:30)を新宿家庭クラブ会館で実施。桜の開花宣言間近で暖かく、駅から会場までいつもの地下道ではなく地上を歩いた。気持ちいい。
コロナが収束に向かい歌会参加者数がコロナ前にもどってきたのが何より嬉しい。3年間、歌会を中止したりZoomで行ったりだったが、やはり仲間同士のリアルな会場歌会は捨てがたい。発言者の視線や仕草、緊張感や声のトーン、室内の明暗など、立体的空間で交錯する発言がよりよく理解を深めるように思う。人が確かにそこに居る揺るぎなさに心が動く。
参加者数は同じでもメンバーには交代があった。新しいメンバーが少し加わったのである。初めて作歌するという人もいるし、かなりな歌歴をもつ人もいる。参加の動機もそれぞれ。歌会にとって、これはとても重要だ。新しく人が加わるということは、新しい考えに出会うということだから、従来のメンバーにとっても刺激がある。老若男女、できれば様々な社会の立場にある人に加わってほしいものだ。今後の展開が楽しみ。
カルチャー講座の講師をしているわたしは、講座と歌会の両方を行ったり来たりしている。内容は短歌実作と鑑賞で、両者は似ているのだが違いは意識している。講座と歌会の違いの一つは商業システムの中にいるかどうかだが、もっとも大きな違いは、参加者の創作意識の問題にあると思っている。結社の歌会は参加者が主体的に議論を深め支えてゆこうという人々の集まりで、みんなで〈短歌とは何か〉という問いを考える場である。いっぽうカルチャー教室は短歌への窓口として用意された学習の場である。
カルチャー教室は1980年代以降、社会人向け生涯学習機関として盛んになった。たいていのカリキュラムに短歌講座があってそこを契機として結社に入る人たちが増えていった。そのことは歌会の内容を大きく変えたように思う。ざっくり言えば、歌会のカルチャー教室化である。この変化には長短両面があって、一概に良し悪しは言えない。現在の歌会とカルチャー教室は両者が入り交じっている。どちらも参加者がこの違いを意識していることが重要事だろう。(2023.03.19)